※この記事はネタバレを含みます
ゆきおの誕生日に出会ったコインランドリーで待ち合わせして、カフェで話す。文菜は今まで何度か浮気したこと、山田線に惹かれていたことを正直に打ち明ける。
山田線との話、ゆきおにとってはすごく辛い辛い話。文菜が惹かれていた相手は、文菜が一番じゃない。その相手の陰にずっと振り回されてきたんだから。珍しく他人に対する嫌悪感を口にするゆきお、ちゃんと途中で飲み込んだけど。文菜はその嫌悪に対してちょっと山田線を庇うようなことを言ってたし。ゆきおにとってはとても辛い話だと思うのに、文菜はそこまで気づいていない雰囲気。
全て話して、それでもゆきおと一緒にいたいと言って、誕生日プレゼントの手編みのマフラーを渡す文菜。もらったマフラーを文菜に巻いて別れを告げるゆきお。自分が幸雄のために編んだマフラーを巻いて、別れの言葉を聞く文菜はすごく綺麗だった。発光してるのかと思った。
ゆきおが紗枝の話をしたのは自分のためか?って文菜は聞いたけど、たぶん文菜の浮気の話を聞かなくてもゆきおは紗枝の話をしたと思うなあ。文菜との関係を完全に終わらせるために。ゆきおの「店で別れ話をすると仕事中に文菜を思い出したキツイ」という思いを華麗にスルーして「髪を切って欲しい」という文菜。文菜という人はしっかり文菜中心に考えてて気持ちがいい。別れ話より最後に楽しく思い出話する方が後々キツイ。
ゆきおが紗枝と浮気はしてないって言ったことに対して反感を持った人も多いみたいだったけど、嘘ではなく、ゆきおはただただ事実を言っただけに聞こえた。ゆきおのしてることが浮気なら文菜と小太郎も浮気よねとも思う。
髪を切り終わったあと、温泉で話した口の場所の話をするゆきお。最後まで文菜の希望を叶えてあげてて、最後まで大人だなあ。文菜の「ゆきおが大切なのに、どうして傷つけるようなことをしてしまったのか」「自分は誰のことも好きになれないんじゃないのか」をまだ好きだけど、別れる相手にぶつけられたら辛い辛い辛い。「しらねー。どうでもいい。」って伝えたゆきおはめっちゃくちゃすごいと思う。自分なら全力で聞かなかったことにする。
カットとシャンプーの料金を冗談めかして請求するのも、ゆきおがちゃんと線引きしようとしているのを感じる。それでも「お客さんとしてなら来てもいい?」と発言してしまう文菜も文菜らしい。料金を受け取らなかったのも「もう来ないで欲しい」もちゃんとお別れしようとしているのが好感が持てる。
文菜が去ったあと、切った髪を片付けるゆきおの姿が切ない。悲しいときやりなれた動作をする感じ、でも悲しさが込み上げてきて立っていられない感じ、手に取るように伝わってきて辛い、切ない。そこへ戻ってきて「出会い直し」を提案する文菜。1話で、「初対面なのに距離つめすぎと言われて一度帰ってまた来る」場面の再現。ここまでちゃんとあがけるのは文菜の強さだし、カッコいいなと思う。文菜が抵抗せずにさらっと別れたら、ゆきおはなかなか断ち切れなかっただろうなあ。
最後まで文菜はゆきおの気持ちを汲んだり、慮ったりすることはしなかった。そういえば、ゆきおが文菜にプレゼントしたり、レストランや温泉を予約したりすることはあったけど、文菜はなかったな。マフラーはゆきおのリクエストだし。「マフラーを編んでるときは自分のことを考えて欲しい」というゆきおの言葉は本当そうだよなあ、と思う。最後くらい、自分のことを考えて欲しいってわがままではないよな。だって山田線のことは心配だからそばにいたのに。
文菜はゆきおの心が離れていくのを感じてゆきおのことが好きになったのかなとも思う。これから変わっていくかもだけど、文菜は自分のことが好きじゃない人を好きになってしまう人なのかも。その感覚はなんとなくわかる気がするけど。ゆきおからしたらたまったもんじゃないよね。
ゆきおと別れて公園で小太郎と会う文菜。小太郎の存在がこのドラマの癒し。ゆきおに編んだマフラーを小太郎にあげようとする文菜。小太郎、たまには怒って良いんだぞ。こんな扱いをうけても怒らない小太郎だから文菜のそばにいれるんだろうけど、怒らない小太郎だから文菜は好きにならない。恋愛ってままならない。戦争反対。
ままならないもどかしい、そんな思いをのせての「戦争反対」という叫びはすごい。
マフラーをほどいて毛糸の塊にする描写好き。こんなにするする解けるなんて、本当に丁寧に編んだんだろうなあ。ゆきおは文菜のことちゃんと理解してたんだなあ。もこもこの塊を抱える文菜を見ていたらめっちゃ泣けた。その後ちくちくに堪える小太郎で笑った。笑い泣きできるドラマって良作の証。
1年後文菜はえんちゃんと自分の恋愛を元にした「冬と水色」で賞をもらっていた。そして文菜はその1年間、特定の恋人を作っていない。「特定の」ってことは恋人になりそうな人はいたのかなあ。好きでもつき合わないって選択をしてみるのも良いよね。「ちょっと変われると良いかもね」というゆきおの言葉を思い出してしまう。
えんちゃんから誘われたいちご狩りに小太郎を誘う文菜。そこでも文菜の変化を感じる。最終話、冬の晴れた日の場面から始まり、ある晴れた春の日の場面で終わる。切ないけど、胸がすっと軽くなるような物語だった。
私が文菜とゆきおで決定的に違うと思ったのは、自分と他人の境界線。ゆきおはつきあってから文菜に幸せになって欲しいという軸で動いていたように思う。言葉でも「文菜には笑っていてほしい」と言ってたし。実は小太郎も紗枝も「相手の幸せ」を願う言葉を言ってる。対して文菜から「ゆきおはどうしたら幸せになるのか」を考えてる節は感じられなかった。相手の幸せや喜ぶ顔を見て幸せを感じるって、他人との境界線がちょっと曖昧なんだろうなと思う。対して文菜や山田線は(二胡も)自分の形がはっきりしてる。相手と自分の考えの違いを言語化することで、際立てせているような感じ。そういう人は自分の境界線を越えられるのなんとなく不快なんじゃないかなって気がしてしまう。文菜とゆきおは山田線や紗枝の存在がなくても上手くいかなかった気がする。
そして話題になっていたディレクターズカット版の紗枝の行動。このドラマでいちばん理解できなかった。紗枝は「冬と水色」も読んでそう。何故あの行動に出たのかはわからないけど、「しなきゃよかったのに」とは思う。椅子を見るたびに、おばあちゃんをみるたびに、文菜の声や顔を思い出すことになるよ。そしてゆきおは紗枝にも忠告無視されちゃったのか。温泉でも文菜に「甘酒しなよ、玉こんにしなよ」の忠告無視されたもんね。小太郎に髪を切ってもらう文菜が見れたのは良かった。
最終話を見てからいろいろなひとの感想を見ました。どれも共感できる感想けど、自分の感想と違うという不思議な感覚で、本当にいろいろな見方ができるドラマだった。
来週からもうこの物語にひたれないのかと思うととても寂しい。
第9話の感想はこちら
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※2026年3月の情報です




